ここ数年、空いた時間を使って、趣味で競馬の解析プログラムを書いている。
解析といっても大げさなものではなく、市場評価、つまり全体のオッズから見て、価格の歪みが大きそうなものを拾うだけのものだ。
発想としては、集団知をある程度正しいものとみなす、いわば効率的市場仮説寄りのアプローチに近い。
要するに、このソフトが見ているのは「その投票券がどう値付けされているか」だけであって、戦績や馬の能力といった情報は一切参照していない。
だから当然、市場規模がある程度ないと信頼しにくいし、そもそもこちらが見つけようとしているような歪み自体、すでに市場に織り込まれている可能性もある。
なかなか微妙な立ち位置のソフトである。
なお、オッズの取得にはなかなか苦労したが、スクレイピングのようなお行儀の悪い方法は採っていない。
当初は「オッズは単勝から形成されるはずだ」という考えから、理論オッズの生成材料として単勝オッズを基準にしていたのだが、結果として、ここにはかなり改良の余地があった。
市場を再参照するような格好にはなるものの、各オッズ同士の相対関係から基準値を導き出すほうが、結果が良い。
余談だが、地方競馬では、中央競馬ほど単勝オッズを起点に市場が順に熟成していくというより、各券種がそれぞれの流れで完成していくように見えることが多い。
最終的にこれらをオッズ帯など諸条件ごとの回収率(過去データ)に沿わせ、さらに市場に現れやすいバイアスも加味しているが、どうやらこの「バイアス補整」がいちばん肝心なようだ。
たとえば、高齢馬は過小評価されがちなのか、逆に過大評価されているのか。夏競馬の牝馬はどうか。最終レースでは不人気帯に票が集まりやすいのか。ゲートについてはどのように評価されるのか。
そうした癖を補整していくと、単純な理論値よりも現実に近づきやすい。
ただ、想像どおりというべきか、乖離率の大きい順に拾っていくと、回収の収束にあまりに時間がかかるようなもの(超大穴・連単系)ばかりが並ぶ。
そもそも解析が正しいのかも怪しいうえに、超長期で検証しないと話にならず、遊びとしては少々つらい。
そのため実際には、ある程度は市場の合意が取れている組み合わせに絞って買い目を組んでいる。
実際、このソフトに馬連で控除率をも超える期待値のもののみをピックアップさせると、ほとんどが「該当なし」、つまり「見(けん)」ばかりになる。市場はなかなか賢いのだ。
このあたりで改めて思うのは、馬券を完全ランダムに買った場合、単純に控除率ぶんだけ不利な期待値に収束する、というほど素直な話でもないらしいということだ。
実際には、控除率を均等に引き受けるのではなく、市場が平均的に割高にしている領域へも「均等に」資金を投じることになる。
つまり、市場の非合理性や歪みそのもの(期待値の非対称性)まで、まるごと引き受けてしまう。
「支持率(オッズ)」と「的中確率」は一致せず、一定の傾向をもって「偏り」として現れ、その結果、回収率は控除率ぶんよりやや低い側に寄っていく。
そんなわけで、地味な改良を延々と続けているこのソフト。
ここ数年の回収率だけ見れば、少なくとも遊びとしてはそれなりに満足できてはいるが、それでもなお控除率の壁は高い。
そして空き時間の楽しみとして、今後もだらだら続けていくのだろう。
とはいえ、結局のところ、レースを見てあれこれ考えながら予想するほうがずっと楽しい。
たぶん、そこは最後まで変わらない。
Today’s Album
Artist: GODIEGO
Album: MAGIC CAPSULE