学生時代、広島で暮らしていたころ、よく釣りに行った。
昼夜問わず、海岸や防波堤に赴いては竿を出し、投げ釣りやウキ釣りを楽しんでいた。
キス、メバル、アナゴ。色々釣れた覚えがある。
愛知に移り住んでからは時間的な余裕もなく、道具も手放していたため、釣りに行くきっかけがなかった。
というか、すっかり釣りのことは忘れていた。
ところが、ふとしたことから知人が釣りを趣味にしていると知り、触発される。
これは、25年ぶりに釣りをした時の話。
まずは、再び道具一式を揃えるところから。
吟味の末、ロッドはダイワの「CROSSBEAT SW」とシマノの「ホリデースピン」。そしてリールは「アルテグラ」を選んだ。
昔の道具に比べると、その進化に驚く。ロッドはグラスからカーボンが主流になり、モバイルロッドは驚くほどコンパクトで軽くなっている。
「アジング」「メバリング」などという釣法も登場していた。
「え、アジやメバルをルアーで?」
と思うが、これが成立するらしい。
とはいえ、いきなりよく分からない釣法に手を出すようなことはしない。
ここは手堅く、エサを投げることにした。
というわけで、早速道具一式を買い揃え、ネットで釣りスポットを検索し、港へ向かう。
釣り施設として開放されている堤防だけあって、釣り人でにぎわっていた。
早速竿を出し、ちょい投げ。
あとは魚が食いつくのを待つのみ。
が、かれこれ数時間。
何度投げても一向にかからない。
場所が悪いのか、潮が良くないのか。
周りはどうだ、と見渡す。
どうしたことか。
周りもまったく釣れていない。
そう。堤防一帯、誰一人として釣れていないのだ。
釣れないことよりも、こんなにも釣れないのに、なぜこんなにも人が集まっているのだ。
その光景に、驚きを通り越して戸惑いすら覚えた。
久々の釣行はボウズに終わった。
しかし、まだ魚の鱗ひとつ付いていない真っさらなロッドを仕舞いながら、私は静かに心に決めた。
近々必ずリベンジに行こう。この愛知の海の、手厳しい洗礼を乗り越えるために。
Today’s Album
Artist: Fleetwood Mac
Album: English Rose